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2012.01.19
共焦点レーザー顕微鏡 Raster Image Correlation Spectroscopy(RICS)によるアナログ修飾酵素の細胞内拡散解析
細胞内に存在しているタンパク質の拡散係数を算出することで、分子の結合や分子密度の変化を知ることができます。FV1000D-DMPでは、対象サンプルの大きさや特性に応じた幅広い解析手法(RICS/ccRICS、point FCS/point FCCS、FRAP)を提供します。標的タンパク質の拡散係数を求めることにより、細胞内における分子間相互作用やシグナル伝達などを解析することができます。また、RICS、point FCS、FRAP解析を使い分けることにより幅広い拡散解析に対応しています。
細胞内分子の観察は、空間情報の可視化、時間情報の可視化に大別できよう。空間情報の可視化法としては、特異的抗体を用いタンパク質を検出する免疫染色法、相補的DNA鎖を用いRNAを検出するinsitu hybridization法、分子自身を直接検出する質量顕微鏡法などが挙げられる。時間情報の可視化法としては、GFP融合タンパク質を用いたlive imaging法、蛍光色素を用いたion imaging法などが挙げられる。
これらの手法は分子の細胞内局在やその経時変化を一目瞭然に示してきた。例えば、抗体やGFP融合タンパク質を用いた実験から、我々が最近発見したアナログ翻訳後修飾酵素glycylaseについて、酵素と修飾状態(PolyG化)の細胞内局在がユニークな様相を呈することが明らかになった(図A)。酵素が核内に局在するほど、細胞質の修飾レベルが上昇した(図B)。
この結果から、酵素が核内で何らかの分子と相互作用している、あるいは干渉されている可能性が考えられた。しかし、既存の観察法、解析法ではこれ以上の理解は難しかった。そこで我々は、分子の状態や分子の周辺環境を観察することが可能な新しい手法を取り入れた。
近年、分子の拡散係数を計測する手法が確立され、分子の大きさや分子周辺の粘性などに依存した情報を得ることが可能になってきた。さらに、画像情報から拡散係数を二次元的に描画できるraster image correlation spectroscopy (RICS) の登場により、分子の状態や分子の周辺環境に関する情報を可視化することが可能になり、新しい分子解析の道が開かれた。我々はRICSによる解析を試みた。RICSではデータ取得が良好な解析結果を得る鍵をにぎる。
解析により得られた分子数と解析の元となる蛍光像との相同性を指標とすることで、解析結果の質を評価することができた(図C)。RICSによりglycylaseを解析した結果、核内における酵素の拡散係数は、細胞質における値とほぼ同程度であった(図D、E)。


一方、点突然変異の導入により失活させた酵素を解析した結果、核内での拡散係数が非常に高くなることが分かった(図D、E)。これらの結果から、glycylaseは活性依存的に核内において何らかの分子と相互作用し分子運動が干渉されていることが示唆された。
【データ取得条件】
対物レンズ:UPLSAPO 60×(NA1.35)、ズーム×16.5
スキャンモード:256×256pixels、12.5us/pixel、150フレーム
レーザー:488nm
浜松医科大学 分子イメージング先端研究センター
池上 浩司 先生、瀬藤 光利 先生
セミナー動画
第62回 日本細胞生物学会大会 オリンパスランチョンセミナー [2010年5月21日(金)]
「共焦点顕微鏡が拓く新たな分子イメージングの世界 〜生細胞内での分子相互作用解析〜」
タイトル:「RICSのタンパク質機能解析への応用」
講演者:浜松医科大学 分子イメージング先端研究センター
分子解剖学研究部門
瀬藤 光利 先生、堤 弘次 先生、池上 浩司 先生
動画をみる[Flash形式/26分]
タイトル:「共焦点レーザ走査型顕微鏡の新しいアプリケーション(RICS)」
講演者:オリンパス株式会社 ライフサイエンスマーケティング部
齊藤 慧
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